JCAS Review

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地域に内在し世界を構想する

地域研究

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地域研究 JCAS Review Vol.18 No.1 2018  P. 32  公開日:2018年3月30日
2017年度JCAS年次集会シンポジウムの記録

コメント

石井  敦

東北大学東北アジア研究センター 准教授

ISHII Atsushi

 お二方の先生にわかりやすく、また呼応して相互補完、相乗効果のある御発表をいただき、ありがとうございました。
 安成先生の発表を聞いて、アジア地域が地球の未来に非常に重要だと再認識しました。それから井上先生の発表を聞いて、日本でも既に超学際研究が行われる事例も多いと思いました。今までフューチャー・アースに関わっていない超学際の事例を拾い上げてネットワーク化する際、JCASに御協力いただけるのではないかと思いました。
 地域とグローバルをどう繋げるかは大きな課題です。繋げるといっても様々な次元があり、井上先生の「挟み撃ち戦略」は、実際に政策を地域とグローバルで繋げて国家に採択させ、実施してもらうことでした。同時にグローバルな環境アジェンダに地域の声を届ける関わり方にも様々な次元があり、そういう意味で方法論の開発は遅れています。
 私の専門は国際政治ですが、国際政治でもローカルな環境NGOが国家に影響を与えるために国際条約の場に出ていき、そのブーメランで国家に影響を与える理論があります。「国家の挟み撃ち戦略」は、それと似ています。この戦略は非常に有用です。この戦略を理論的に裏づけてさらに開発していくのが良いと思います。
 地域研究とグローバルなスケールを繋げるのが、フューチャー・アースが提供する国際共同研究プラットフォームです。課題も色々あります。一つは転換(transformation)です。これは全てのステークホルダーや研究者から必ずしも支持されているわけではありません。
 私の事例で言いますと、例えば気候工学という、成層圏に塵をまいて火山の冷却効果を模倣する工学的温暖化対策があります。その研究課題をステークホルダーの皆さんと一緒に考えました。このプロセスで電事連の方にも来ていただきました。
 「転換」ありきだと、ステークホルダーに参加してもらえない可能性が考えられます。ワークショップの参加者全員で論文を書いて研究課題を公表しました。「転換」に関して合意がないと論文も一緒に書けない等の懸念があります。そういう場合、ステークホルダーが参加する足かせになります。
 私は環境社会学も専門にしているので、井上先生にお答えしますと、フューチャー・アースが目指すのは「ポスト・ノーマルサイエンス」です。研究者が集まっても、自分の専門領域(discipline)に集中しがちなので、「超学際科学」を実践する場合、研究の事後評価、すなわち、超学際科学を評価する方法を考えなければなりません。

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