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地域に内在し世界を構想する

地域研究

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JCAS Review

地域研究 JCAS Review Vol.17 No.1 2017  P. 57  公開日:2017年3月30日
運営委員長からのメッセージ

地域研究のオンライン化にあたって

塩谷 昌史

地域研究コンソーシアム運営委員長

SHIOTANI Masachika

 地域研究コンソーシアム(JCAS)は、地域研究にかかわる97(2017年1月現在)の機関が加盟する組織であり、地域研究のネットワークとして国内最大規模をほこる。雑誌『地域研究』はJCASに編集委員会を置く雑誌として、2004年から刊行してきた。世の中には、一般むけから専門家むけまで、さまざまな雑誌がある。『地域研究』は、地域研究者と一般読者の架け橋となることを、めざして編集されてきた。地域研究に関連する雑誌は、ふつう研究対象地域を限定する雑誌がおおい。しかし『地域研究』は特定地域にこだわらず、地球上のあらゆる地域を対象に地域横断的な視点を持って毎号タイムリーな特集をくんできた。紙媒体の雑誌として刊行してきた『地域研究』は今回、オンライン・ジャーナルとして、あらたに出発する。世界的に新聞・雑誌は紙媒体からデジタル化にむかうのが趨勢である。デジタル版のほうが、刊行費が安く、編集の時間が短縮できるためである。また、配信が瞬時になり、配送費がゼロになるメリットもある。

 JCAS事務局はこれまで京都大学地域研究統合情報センターにおかれてきたが、2017年1月に同センターは東南アジア研究所と統合され、東南アジア地域研究研究所としてあらたに出発した。そのため事務局は、あたらしい東南アジア地域研究研究所にうつる。これを機に『地域研究』は世界の趨勢にならい、紙媒体からオンライン・ジャーナルになることを選択した。これによりコスト削減だけでなく、編集のスピード化がはかられ、よりホットな地域研究の情報や、世界各地での取り組みをいっそうタイムリーにつたえる雑誌にかわる。インターネットで配信できるので、いままで以上におおくの読者にむかえられるだろう。

 2006年に地域研究統合情報センターが発足し、『地域研究』の刊行担当を開始した後に刊行された最初の『地域研究』は第8巻1号であった。これは、JCASが編集し、同センターの前身でもある国立民族学博物館・地域研究企画交流センター(当時)が刊行していた雑誌『地域研究』、さらに遡れば地域研究企画交流センターが編集・刊行していた雑誌『地域研究論集』を継承したためである。今回、JCASが編集・刊行する雑誌として『地域研究』をオンライン化するにあたって、雑誌のタイトルを変更する案もでたが、最終的にタイトルは維持された。『地域研究』のタイトルをのこしてオンライン化することは、このオンライン・ジャーナルが国立民族学博物館・地域研究企画交流センターからの、地域名を冠さない地域研究の歴史をひきつぐことを意味する。紙媒体の歴史と、オンラインという、あたらしい特徴をいかし、『地域研究』がJCASの効果的なメディアとなり、おおくの地域研究者と一般読者をひきつけるジャーナルになってもらいたい。

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